サックス 純正律と平均律 sax

サックス コラム

29. 合奏時の チューナー使用

合奏時の チューナー使用



高校生の生徒 からのご要望で。
合奏時の、チューナー使用について
私の意見を、まとめて おきます。

ハーモニーは、
チューナーではなく「耳」で合わせるのが基本だと言う事は、
オーケストラ、吹奏楽、合唱 …等の分野で
古くから重視されて来た事は、十分に承知しております。

ただ、耳だけで合奏時の音程を合わせる事が出来るのは
プロの団体では、ごく当然の話ですが。
3歳からバイオリンを習っている様な、
音大生のオーケストラでも難しい内容 …だと伺っております。

ましてや、様々な技量の方がいらっしゃる アマチュア団体では、
耳だけで合わせる事は ほぼ不可能に近いと考えています。
(一部、熱心なコンクール上位の団体を除きます。
 一般的な 中高生の吹奏楽部、市民楽団を想定とした お話です。)

そこで 私は、
「個人練習」「合奏」「演奏本番」
 全てのシーンで チューナーの使用 を推奨したい

と考えています。


■ 耳で音程の合わせる事が出来る場合

[1]3和音(協和音)

コラム29 1

シンプルな、3和音(I, IV, V)でしたら。
調の主音を基準とすれば
それぞれの根音とは、音程のズレは 極僅かですので。
第3音だけ注意すれば、耳で合わせる事は可能です。

コラム29 2

[2]2つの音程(ユニゾン)

2重奏の様な シンプルな編成の場合は、
お互いに 歩み寄る事で、
心地良い音程のポイントに到達出来ると思います。

ユニゾン、ハーモニー 共、
音のうなり が少ないポイントを目指せば
純正律のハーモニーが可能です。(不協音程を除く)

コラム29 3

[3]基準となる、固定された音程を持つ楽器を含む場合

ピアノ、ハープ、電子楽器(チューナー)、絶対音感 …等
固定された音程がある場合には、
その音を基準に、音程の操作出来る楽器が 歩み寄る事で
心地よい ハーモニーを作る事が出来ると思います。

絶対音感の場合は、周囲がA=445hzで演奏している中、
1人だけ A=440で 維持できる ハイレベルな話です。
空調の音を、階名で当てる程度ではありません。


■ 耳で音程の合わせる事が出来ない場合

[4]4和音

コラム29 4

「長7度」「短7度」が、不協和音程ですので。
どうやって耳で合わせるのでしょうか?

バロック時代から用いられる和音ですし。
近現代以降では、色彩感を豊かにする為に用いられますし。
ポピュラー音楽は、基本的に4和音で出来ています(笑)

クラシック音楽の多くは、平均律(or 中全音律)を基に作られている為
完全に「うなり」をなくす事は不可能です。

[5]演奏技術に差がある場合

コラム29 5

上級者で、音程が正確な方
初級者で、音程が微妙な方
が、一緒に演奏した場合。

理想的には、
音程の良く無い方が、
正確な方に合わせるべきなのですが。

実際のアマチュアの現場では、
音程の良くない方の多くは、
即時に 音程を修正する事が困難な為。
技術力のある上級者が、
ズレた音程に 合わせに行ってしまう
ケースが多いのでは無いでしょうか?
(音程のズレが、生理的に不快ですので。)

そうすると
耳が良い事が 災いとなって
全体としての、音程が整わない…
と言う、悪循環になってしまいます。

[6]3つ以上の音程(ユニゾン)

コラム29 6

3人以上で ユニゾンを奏でる場合。
誰が正確な音程なのか、
基準となる音程が分かりませんので。
・技術力の高い 演奏者同士 か
・音程の近い  演奏者同士 か
・音量の大きな 演奏者同士 か
に、音程を合わせると思います。

そうすると、
多数決による、音程の優位性 が生まれます。
他の奏者は、それに従って 音程を合わせる
と言った方法で、合奏時の音程を 調整しているのでは無いでしょうか?

ただし、この方法では、
少数派が 正しい音程を奏でていた場合も
数の優位な方の音程に合わせる事になってしまいます。


コラム29 7

そこで、私は、
1つの音程(基準)に 全員が歩み寄れる様に
「個人練習」「合奏」「演奏本番」での
チューナーの使用 を推奨したい

と考えています。

先ほどの
[4]4和音の場合は、
   それぞれに基準値が示されるので、
   極端な 音程のズレが 起きません。

[5]演奏技術に差がある場合は、
   上級者は、正確な音程を保ちつつ、
   初級者も、基準値を目指す事が出来ます。

[6]3人以上の音程の場合は、
   基準が定まる事で、数の優位は関係なくなり
   各々が、基準値を目指して 精度を高める事が可能になります。

…ですが。
チューナーを使ったからと言って
ハーモニーが綺麗になる訳ではありません。

軸となる、主要3和音担当なのか
繊細な色彩を表す、付加和音なのか
各自の役割と、バランス(音量、音質、音色…)
を感じながら演奏しなければ
美しい響きにはならないと思います。

特に、高い精度が要求される
主要3和音が重視される場面では、
メーターと 耳を使っての 微調整が必要でしょうね。


演奏中においての、チューナーの使用は
車やバイクを運転する時の、スピードメーターと同じ
と、考えています。

別に スピードメーターを見ないでも
1人で運転する分や、
周囲の流れに合わせて運転する
位は問題ありませんが。

・速度オーバーで捕まったり…
・速度の出し過ぎで、カーブを曲がりきれない…
と言った、リスクを背負う事になります。


1人で演奏する分や
何となく周囲に合わせる程度なら、
演奏中にチューナーを使わなくても
大丈夫かも? 知れませんが。

安全に運転する(高い精度で 演奏する)為には
基準となるメーターが
視野内に あっても良いのでは無いでしょうか?


逆に、メーターを直視しすぎて、
周囲の景色や、信号、歩行者を見られない様では
事故を起こしてしまいますが(笑)
自動車を運転する人なら、それ位 難しくありませんよね?

音程の目安を知ると言う意味で。
チューナーの使用を推奨したいと考えています。


[総論]

コラム29 8

チューナーを使わずに、良い結果を生んでいる団体は
現状維持でも構わないでしょうし。
毎年、地区大会 銅賞・銀賞の団体なら
ダメもとで、試してみて損はないかと思います。

それでも、まだ抵抗があると言う団体は、
コンクールではなく
ポピュラーイベントから、実験的に導入して
様子を伺ってみる方法もあると思います。

現在の私に与えられた環境では、
「チューナーと耳を、両方活用する事」は、
 演奏者にとっても、
 お客様にとっても、
心地よく 音楽を楽しめる 1つの手段だと感じています。


賛否両論は承知の上、記事にしております。
どちらも正解だと思いますので。
お試し頂いて、自分達に合っている方をお選び下さい。
(できれば、1〜6ヶ月ほど試して 模索して頂ければ嬉しく思います。)


現時点(2016/05)では、
吹奏楽コンクールでのチューナー使用は、
規定違反ではないと思われます。

http://www.ajba.or.jp/kitei.htm

なお。地区予選は、地域によってルールが異なる場合があるので。
出場の際には、各都道府県の 吹奏楽連盟支部に確認して下さい。
と、吹奏楽連盟より返信がありました。

(全国で 統一すべきでは? … と個人的には思いますが。
 他人様の方針ですので。ココは、あまり深く触れません。)

※ ちなみに 大阪府は、吹奏楽コンクールでの
チューナー使用は可能だと。返答を頂きました。
ただし、電子音を鳴らすモードは、使用不可です。
(2016/05現在)



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