サックス コラム

サックス コラム

08. 楽器購入( 3.楽器の選定 )

H.Selmer SA-80II Jubilee Alto
H.Selmer SA-80II Jubilee Tenor

概要

楽器は、一見 同じ様に見えますが
・製造メーカー/型番
・材質
・表面仕上げ(メッキ、サテン加工)
等の違いで、1本1本 音に差が出ます。

もっと細かく言えば、
・全く同じ メーカー/型番 の楽器
・楽器管理の状態
・修理状況(*中古)
でも違いがあるので、試奏が必要です。


楽器の善し悪しは、人によって千差万別です。

「明るい楽器」を良いとする人もいれば
「暗い楽器」を好む方もいます。
「重い楽器」を良いとする人もいれば、
「軽い楽器」を好む方もいます。

私の場合は、どちらが良いと言う訳ではなく
そう言った変化に対応できるかと言う点を意識して
楽器選び(選定)を行いますので。
柔軟で、可能性の広い楽器を選ぶ様にしています。


選定する時にチェックする要素の例

1.音質 (上級者)

クリアさ / 変化の多様性(周波数特性)…

妙にギラギラする音や、(明るいとは別)
どう演奏しても音が暗い。
ノイズ成分が取り除けない。
低音の迫力に欠ける。

といった楽器は、避けた方が良いでしょう。
色んな音が出せる楽器が理想的。
(スタンダードなマウスピースでの試奏を推奨)

2.音色・音量

明るさ / 柔らかさ / 太さ / 音量の変化 …

 リードやマウスピース、演奏の仕方で、
 「明るい→暗い」「軽い→重い」と変化に対応しやすいですが。
 逆に、「暗い→明るい」「重い→軽い」は容易ではありません。

 ビンテージの楽器や、
 個性派の音色も捨てがたい時もありますので。
 色んな答えがあると思いますが。
 1つの基準として、柔軟な楽器をお薦め致します。

3.吹奏感

反応の早さ / バランス良い鳴り方
深み / 遠達性 / 艶(ツヤ) / 音程のツボ …

軽い楽器は、反応も早く、遠くまでなる傾向にありますが。
作りの精度が悪いと、均一に鳴らなかったり、
そば鳴りや、共振が起きたりする様です。

音程のツボと言われる、正確な音程を演奏した時に
遠くまで音が鳴る様なメーカー(セルマー|ヤナギサワ|アンティグア) と、
音程のツボを持たないメーカー(ヤマハ 等)があります。
どちらにもメリットがあります。選ぶ際のポイントの1つです。

4.手触り

キー配列

慣れで何とかなる場合も多いですが。
持ち替えが必要な場合や、手の小さい人には重要です。
国産の楽器は、手の小さな方でも扱いやすい様に配慮されていますが。
逆に、手の大きな方には小さ過ぎる…と感じる場合もある様です。

他に、
「キーの高さにバラツキがある」(大型楽器に多いかも。)
「 サイドキー | High F#」の「位置・角度」も
微妙な操作性の違いを生みます。

5.その他

[音程] 特に生産が、アジア諸国の楽器
[状態] 中古・新古品 / タンポの状態 …など

有名ブランドで、音程の悪い楽器というのは、基本的には無いと思いますが。
(調整不足、演奏者の技術不足… を除く)
稀に、古い楽器や激安の楽器に、音程の不安定な物があります。
2本目以降の楽器としてはオモシロいですが。
最初の楽器として使うのには、お薦めしません。

長い間使っていなかった中古品や、店頭に飾られていた楽器の中には、
管理不足の為に、タンポ(穴を塞ぐ為の皮)が乾きすぎてしまう。
と言った事があります。


[ 各メーカーの傾向 ]

ヤマハ

Yamaha

ソロ楽器としても用いられますが。
周囲と溶け込みやすい音色を、得意とします。
価格帯も幅広く取り揃えており、
初心者〜上級者まで、楽に扱える物が多い。

ヤナギサワ

Yanagisawa

日本人好みの艶っぽさ と 輪郭が感じられる音色。
丈夫さや、精度の高さにも、定評があり
プレイヤーだけでなく、修理技術者にも好評。(日本製)

セルマー

selmer

サックスで、最も有名なブランド。
色んなメーカーがありますが、プロの使用率1番じゃないでしょうか?
特徴的な音色を持っていないので、自分で「音程|音色」を作る必要があります。
使いこなすには、慣れが必要です。


材質 | 表面仕上げ

ブラス(黄銅)

H.Selmer SA-80II Jubilee Alto

黄銅(ブラス)は、銅Cu と亜鉛Zn の合金
サックスは、イエローブラス(亜鉛が30%前後)が使われる場合が多い。
5円玉を想像して頂ければ、分かりやすいかも知れません。

音色は、明るく、軽いのが特徴。
中音域から高音域を得意とする。
価格的には、最も安い物〜高級機種まで広く使われている。
広く使われている。

ブロンズ

Yanagisawa A-992

青銅(ブロンズ)は、銅 を主成分とした、スズや亜鉛を含む合金。
10円玉を想像して頂ければ、分かりやすいかも知れません。

ブラスに比べ やや音の重心が低く、
中低音域から高音域を得意とします。
ヤナギサワの製品の一部に、この金属が使われています。

スターリングシルバー

Selmer ソプラノサックス Serie III Jubilee Starling Silver

銀92.5% 銅 他(?)7.5% の合金。
銀製のフルートも、同様の金属を用いる事が多い様です。

音色的には、非常に明るく、きらびやかな印象。
反面、低音域をカットする素材の様です。
個人的には、ソプラノ向きの素材だと思います。
ヤナギサワに比べて、セルマーの方が、金属が薄く感じます。

黒ラッカー

Selmer アルトサックス Serie II Super Action 80 S-II Jubilee Black

ラッカーと表記されますが、
実際は、エナメル塗装です。(例外あるかも)
高音域、中低音域を、抑える効果があるので
中音域にポイントを絞った音色です。

見た目のインパクトが大。
落ち着いた柔らかい音が好みの方へ。

銀メッキ

Selmer アルトサックス Serie II Super Action 80 S-II Jubilee SP(銀メッキ)

高音域を抑える、落ち着いた音色が特徴。
その割に、輪郭はハッキリしています。
管内部 表面の凸凹が少なくなる為かも知れません。
鳴りやすい楽器が多い印象です。

表面が黒く酸化しますが、
あえて磨かなくても、格好良いと思います。

金メッキ

Selmer アルトサックス Serie II Super Action 80 S-II Jubilee GP(金メッキ)

素材に直接のせる 金メッキと、
銀の上に金をのせる 2種類があります。
ピンクゴールド(金75%、銅 約20%、その他)
も最近では良く見かける様になりました。
ネックだけ金メッキと言う方法も、コストパフォーマンスが高。

高音域を少し抑え、中低域を充実させます。
若干、吹奏感は重たくなります。
数が少ないので、選べないと言うのが難点。

ノーラッカー

アルトサックス】YAS-82ZUL

表面加工をしていない、素材そのままの仕様。
通常のラッカーより軽い分、
音色/反応の良さ が得られると思います。
素材の特徴をを生かした表面仕上げだと思います。

ヤマハのジャズモデルの一部に採用。
耐久性に問題が無ければ、是非試したい素材です。


補足01  -選定品-

楽器店には、プロの演奏家が選んだ「選定品」も あります。
その演奏家の方にとって、良い楽器なのですが
特に「初心者/女性/年配の方」には、体力的に難しい場合もありますので。
選定品と言えども、ご購入の際には 試奏をお薦め致します。


補足02  -別売りネック-

吹き比べる程、楽器の在庫がある店は稀ですので。
「別売り ネック」との組み合わせも、視野に入れています。

しかし、ネックの選定は、
プロでも難しい 超上級者向けの選び方です。
別の楽器の様に良くもなるし、悪くもなる、危険な技です。
「メッキや金属で変わる変化」よりも、
「楽器本体とネックの相性」の方が、変化が大きいです。
必ず同じメーカーの物で、組み合わせます。


ページのトップへ戻る